2019年3月12日火曜日

ゾーニング事業を巡る、知っておくべき「事実」その④

浜松市が平成29年度から実施している風力発電に係わるゾーニング事業も、ゾーニングマップの最終結果の公表に向けていよいよ大詰めを迎えています。

昨年12月5日に開催された熊地区でゾーニングの現地調査報告会については前回の投稿で詳しく触れました。その後再度水源などについての現地調査を行い、年が明けた今年1月27日に2回目の現地調査報告会が開催されました。

前回の調査はではあまりに杜撰だった、水源調査や景観に関する調査報告の内容もかなり改善されていました。

また最初の説明会の時に議論を呼んだ風車から住居までの距離については、当初の500mが850mに変更されました。2000kW級の風車(高さ約120m)4基が300m間隔で並んだ事を想定して算出されていて、ようやく現実的な条件設定になりました。

地区の課題(浜松市がカルテと呼んでいるもの)についても、私たちの意見をかなり取り入れた形で公表してもらえる事が分かりました。

そして2月15日に、浜松市はそれぞれのエリアの条件や課題をまとめた「浜松市風力発電ゾーニング計画書(案)及び風力発電ゾーニングマップ(案)」をHPで公表し、意見を募集しました。


陸上風力に関しては全部で19のエリアが抽出されていて、それぞれのエリアの課題点(カルテ)が明らかにされています。地区別エリアBのNo.14が熊地区です。

浜松市全域(陸上・洋上)を対象として風力発電に適したエリアを探し出すゾーニング事業でしたが、現時点では風力発電施設の導入を「推進するエリア」(ゾーニング案ではCエリア)は無いことも分かりました。

熊地区の地域意見と、地区住民からの意見が以下の様にまとめられています。
(情報の最後に当ブログ名が記載されていて、市の担当者もこのブログを読んでいるいることが分かりました!)


しかしその一方で、風力発電施設が出来る事で進む事が予想される「過疎化」や、公表されるゾーニングマップについて浜松市がどこまで責任を負うのかといった点については不明なままです。当自治会としてゾーニングマップ(案)に対して下記意見を3月2日に提出しました。

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【風力発電ゾーニング計画書(案)及び風力発電ゾーニングマップ(案)について】の意見書

今までも繰り返し当自治会として風力発電計画への反対意見を述べているが、天竜区の急峻で決して強固とはいえない地盤の山々の尾根、及び山頂に風力発電施設を作る事は決して容認出来ない。この事をあらためて表明する。

緑の山々は私たちの命の水を育むものであり、また遠方から自然を求めて尋ねてくる人々にとっても大事に守るべき宝である。

地球温暖化そして気候変動による深刻な影響を考えるとエネルギーの脱炭素化を急ぐ事は必要だが、再生可能エネルギーはそれを進めるための「一つの選択肢」であり、今回のゾーニング調査における浜松市との意見交換や、全国で頻発している風力発電計画への反対運動を踏まえると、熊地区への風力発電施設はその選択肢とはなりえない。

今回公表された浜松市風力発電ゾーニング計画(案)を見ると、陸上・洋上ともに現時点では「Cエリア」に該当するエリアはないとなっている。これも今回のゾーニング調査によって明らかになった「一つの重要な結果」であり、今後の再生可能エネルギーの導入拡大については、市民の理解をえられるような方向性の検討、そして分かりやすい形での情報提供や情報公開を要望する。

また3月末までに公表されるゾーニングマップに対する、浜松市の責任の所在が曖昧である。ゾーニングマップに法的拘束力はない。もし今後あらたな民間事業者が熊地区に風力発電計画を立ててきた場合、浜松市はどのよう対応をするのかが不明である。手続きに問題が無ければ、浜松市は計画を受けざるをえなくなる。「計画を受ける前」に、熊地区の自治会に対しての情報提供や協議の場を設けるなど、浜松市として何らかの対応策を考えておくべきである。
 
■「地域意見のまとめ」についての意見
1. その他の項目の下記文章の訂正をお願いする。
「環境影響評価の調査が中断している」これは「停止」が正しい。

2. 熊地区(に限らないが)の最大の問題は過疎化である。熊連合自治会は浜松移住センター(浜松市市民協働・地域政策課)が行っている”Welcome集落制度”に登録されており、地域で積極的に移住者のサポートを行っている。しかし風力発電施設が出来た場合、その影響により当地区の生活環境が悪化する事は避けられない。その結果当地区への移住者が減る可能性、そして現在居住している人々が他地域へ移住してしまう事も考えられる。例えば当自治会に移住して来た2家族は、もし風力発電施設があったら当地区へは移住して来なかったと述べている。

■「地域住民から寄せられた各種意見・情報」についての意見
1. 風車に設置が義務づけられている航空障害灯が夜間の景観を損ねる。

2.  20年後の事業撤退の際に風車の土台などがそのまま「負の遺産」として放置される。

3. 一度改変されてしまった自然は二度と元にもどらない。事業撤退の際には「原状復帰」となっているが、現実には不可能である。

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意見募集は3月2日に終了し、この後第5回検討協議会で最終調整が行われ、今月末までに最終結果が公表される事になります。
浜松市はその最終結果を一般公開という形で発表し、HPでいつでもアクセス出来るようにする予定です。

最終的にどんなゾーニングマップが発表になるのか、そしてその結果をふまえて、環境影響評価が停止となっている自然電力株式会社がどのような方向性を示すのか、大きな山場を迎える事になります。





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