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2021年4月5日月曜日

(仮称)浜松市天竜区熊風力発電事業が中止になりました!

ご報告が遅くなってしまいましたが、2021年2月18日付けで、(仮称)浜松市天竜区熊風力発電事業(以下事業)について、事業者である自然電力株式会社(以下事業者)から事業を中止する旨の文書が熊地区連合自治会及び浜松市担当部署宛に送付されました。

文書の内容は下記の通りです。

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令和3年2月18日 

自然電力株式会社

代表取締役 磯野謙 

 

(仮称)浜松市天竜区熊風力発電事業の中止について

 自然電力株式会社は、(仮称)浜松市天竜区熊風力発電事業(以下、「本事業」)につきまして、本日付で事業を中止することを決定いたしました。これに伴い、本事業に係わる電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(以下、「再エネ特措法」)に基づく事業計画の取り下げを申請いたしました。

 地域の皆さまおよび関係者の皆さまにおかれましては、これまでに多大なご指導、ご協力をいただきましたことに厚くお礼申し上げます。

●中止の理由

 平成29年9月に再エネ特措法に基づく認定を受けた本事業計画につきまして、平成31年3月に浜松市が公表した「浜松市風力発電事業ゾーニング計画書及びゾーニングマップ」を踏まえた再検討を進めてまいりましたが、十分な事業性を担保した事業計画の立案が極めて困難であるという結論に至りました。

(補足資料)

事業中止までの経緯

2017年1月    事業の検討開始

2017年4月    風況観測塔設置による風況観測開始

                    浜松市による風力発電ゾーニング調査事業開始

2017年5月    環境影響評価手続開始

2017年9月    環境影響評価方法書の公告縦覧

                    再エネ特措法に基づく設備認定(後の事業計画認定)を取得

2018年4月    猛禽類調査を除く環境影響評価手続を停止

                        ●環境調査を実施する以前において、住民の方々への説明や聞き取りが不十                           分であったことを踏まえ、浜松市による風力発電ゾーニング調査事業を踏ま        えた上での事業の再検討が必要であると判断

2019年3月    浜松市による「風力発電ゾーニング計画書及びゾーニングマップ」公表

2020年9月    再エネ特措法に基づく事業計画認定に係わる事業実施区域縮小を変更申請

2020年12月    関東経済産業局より変更申請は受理しないとの回答

                        ●事業実施区域縮小した場合の事業実現性が懐疑的との指摘

                    事業中止に向けた対応開始

                        ●関東経済産業局に指摘を受け、再検討した結果、「浜松市風力発電ゾーニ        ング計画書及びゾーニングマップ」によるAエリア(法規制や社会条件等によ        り立地が困難なエリア)を十分に回避した形での事業実施区域を再設定した        場合、十分な事業性を担保した事業計画の立案が極めて困難であると判断

2021年2月    再エネ特措法に基づく事業計画認定の廃止を届出

                    (以後、事業中止に関する手続を順次対応予定)

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補足資料に書かれている2021年2月以降の手続きについては、まだ対応が遅れているようです。こちら進捗状況についてはまた分かり次第公表して行きたいと思います。

当自治会としては、事業中止になった理由についての説明はこれでは不十分だと思いますが、いずれにしても、2017年から始まった事業が「中止」になりました。私たちが訴え続けてきた事業に関する問題点や、事業による環境への影響の大きさなどが反対運動の中で明確になった事が大きかったと思います。

その一方で、2019年3月の浜松市による「風力発電ゾーニング計画書及びゾーニングマップ」公表以降の事業者の事業に対する姿勢には疑問も残ります。

特に事業者が最後まで事業計画認定(FIT認定)にこだわったことにより、2020年9月から12月にかけて、私たちも改めて反対の意志表示をし、交渉を続けざるを得なくなりました。最終的には事業者が中止の判断をする事になった訳ですが、私たちの再三の反対の意志表示にもかかわらず、自らの都合によって事業継続を図った事業者に対しては不信しかありません。

2019年3月以降の経緯についてはまた改めて詳しく書きたいと思いますが、担当者が繰り返し述べていた「地域住民の意思を尊重します」という言葉の重みを、事業者にはよく考えてもらいたいと思います。

2019年4月13日土曜日

ゾーニング結果が発表されました

■ゾーニング事業の最終結果発表
4月1日に浜松市のHPで「浜松市風力発電ゾーニング計画書及びゾーニングマップ」が公表され、平成29年度から2ヶ年にわたるゾーニング事業の結果が明らかになりました。

ゾーニングをする事によって、風力発電に適したエリア(地区)を見つけ出すという事業だったわけですが、前回の投稿でも触れたように、現時点では陸上、洋上共に風力発電計画を進めるにあたって問題がないとされる「C」エリア(推進エリアという事です)は存在していません。

このエリア設定については、「ゾーニング計画資料編」で次の様に述べられています。

 候補地のうち、立地には課題があり調整が必要であるが、課題をクリアできれば、立地が可能となり得るエリアをBエリア、現時点で、立地に重大な課題は認められず、地元の調整に大きな支障が見込まれないエリアをCエリアと設定した。
 今回のゾーニング検討の結果、浜松市内では現時点でCエリアに該当する地区はなく、すべてBエリアとした。

浜松市にはこれも「一つの重要な結果」として受け止めて欲しいと思います。

陸上風力ゾーニング地区別カルテ(No.14)」が当自治会に隣接する地区となります。資料によれば、風況や稜線など地形的判断から、ここには2000kW級風車「8基」を建てる事が出来るとしています。

そして地区の課題として「水源」「騒音・低周波」「景観」などについて、さらに地域住民の意見を加えた形で下記のようにまとめられています。


しかしながら再三地区の課題として、将来にわたって重要な問題であると主張してきた「過疎化」についての意見は、取り入れてもらえませんでした。意外だったと同時に、中山間地における過疎化問題を、浜松市が真剣に考えていないのではないかと疑ってしまいます。

熊地区も「過疎化」対策として積極的に移住者を迎える事業を行っています。移住希望者にとって魅力的な地区であるためには、豊かな自然と環境は絶対条件です。

風力発電施設が近くにある地区に、移住してくる人がいるでしょうか?

浜松市にはこの問題について、もっと真剣に考えてもらいたいと思います。

■ゾーニング結果の活用について
今回のこのゾーニング結果を踏まえて、現在事業が一時停止になっている自然電力株式会社がどのような対応をしてくるのかはまだ不透明です。報告会にも参加していなかったようで、浜松市にも現時点ではゾーニングに関しての問い合わせ等はないそうです。

そしてもうひとつ重要なポイントとなるのが、このゾーニング結果が将来にわたってどのような影響をもたらすのかという点です。

浜松市の資料には、今回のゾーニング結果の活用について次の様に述べられています。

4.2 ゾーニング計画の活用
本ゾーニング計画は、市内における無秩序な風力発電の開発を回避し、適正な導入を誘導するため、風力発電に関する地域特性や地域課題、地域住民の意向等を示したものである。発電事業者が、市内での風力発電を検討する際に、本ゾーニング計画を参考に発電事業を立案することにより、環境保全や社会条件、さらには、地域の意向に即した計画となり、環境紛争の回避につながる。(傍線当ブログ) 
(中略)
浜松市では、市内において風力発電の施設及び施設建設に伴う送電線等の付帯設備の建設を行う事業者が遵守すべき事項や調整手順を明らかにした「浜松市風力発電に関するガイドライン」を平成 18(2006)年に策定し運用を行っている。住宅等からの離隔距離の設定等、今回のゾーニング結果を「浜松市風力発電に関するガイドライン」に反映させる。(傍線当ブログ) 
今後の風力発電事業に対する市の対応としては、本ゾーニング計画を踏まえ、浜松市風力発電に関するガイドラインに基づき、発電事業者との調整を進めることにより、環境と住民生活に配慮した、地域と調和の図られた風力発電の導入を促進する。(傍線当ブログ)

つまり事業者があらたな風力発電計画を検討する際には、今回のゾーニング結果を十分考慮する必要があり、浜松市としてもゾーニング計画や改訂される風力発電に関するガイドラインに基づいて事業者と調整を行うとされています。

しかしここで注意しなければいけないのは、今回のゾーニング計画も浜松市のガイドラインにも「法的拘束力」はありません。

つまり、事業者がこれらを無視して事業計画を検討する可能性を排除できません。

実際にゾーニング事業を行った長崎県の西海市では、風力発電を推進するエリアではないところに、それを承知で事業者が風力発電計画を立て、反対運動が起こっています。

西海市で風力発電反対の団体設立。長崎県内」からの引用です。
今回の風力発電所の建設計画は「適地エリア」に位置していますが、「候補エリア」や「事業推進エリア」には入っておらず、西海市は、「計画されている場所は市が建設を推進する地域ではない」としています。 
西海市では、「風力発電を地域振興につなげたい」としていますが、発電所の建設にあたっては「住民の意見を尊重していく」としています。
西海市のゾーニング計画については下記リンクから参照できます。
風力発電等に係るゾーニング計画を作成しました!」(西海市のHPから)

もし同じような事が浜松市で起きたら、浜松市はどのような対応をするのでしょうか? 「法的拘束力」はないにしても、ゾーニング計画を公表した責任を重く受け止め、事業者にきちんと説明し、指導していく姿勢を示してもらいたいと思います。

紙漉きの原料となるミツマタの可愛らしい花です。

2019年3月12日火曜日

ゾーニング事業を巡る、知っておくべき「事実」その④

浜松市が平成29年度から実施している風力発電に係わるゾーニング事業も、ゾーニングマップの最終結果の公表に向けていよいよ大詰めを迎えています。

昨年12月5日に開催された熊地区でゾーニングの現地調査報告会については前回の投稿で詳しく触れました。その後再度水源などについての現地調査を行い、年が明けた今年1月27日に2回目の現地調査報告会が開催されました。

前回の調査はではあまりに杜撰だった、水源調査や景観に関する調査報告の内容もかなり改善されていました。

また最初の説明会の時に議論を呼んだ風車から住居までの距離については、当初の500mが850mに変更されました。2000kW級の風車(高さ約120m)4基が300m間隔で並んだ事を想定して算出されていて、ようやく現実的な条件設定になりました。

地区の課題(浜松市がカルテと呼んでいるもの)についても、私たちの意見をかなり取り入れた形で公表してもらえる事が分かりました。

そして2月15日に、浜松市はそれぞれのエリアの条件や課題をまとめた「浜松市風力発電ゾーニング計画書(案)及び風力発電ゾーニングマップ(案)」をHPで公表し、意見を募集しました。


陸上風力に関しては全部で19のエリアが抽出されていて、それぞれのエリアの課題点(カルテ)が明らかにされています。地区別エリアBのNo.14が熊地区です。

浜松市全域(陸上・洋上)を対象として風力発電に適したエリアを探し出すゾーニング事業でしたが、現時点では風力発電施設の導入を「推進するエリア」(ゾーニング案ではCエリア)は無いことも分かりました。

熊地区の地域意見と、地区住民からの意見が以下の様にまとめられています。
(情報の最後に当ブログ名が記載されていて、市の担当者もこのブログを読んでいるいることが分かりました!)


しかしその一方で、風力発電施設が出来る事で進む事が予想される「過疎化」や、公表されるゾーニングマップについて浜松市がどこまで責任を負うのかといった点については不明なままです。当自治会としてゾーニングマップ(案)に対して下記意見を3月2日に提出しました。

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【風力発電ゾーニング計画書(案)及び風力発電ゾーニングマップ(案)について】の意見書

今までも繰り返し当自治会として風力発電計画への反対意見を述べているが、天竜区の急峻で決して強固とはいえない地盤の山々の尾根、及び山頂に風力発電施設を作る事は決して容認出来ない。この事をあらためて表明する。

緑の山々は私たちの命の水を育むものであり、また遠方から自然を求めて尋ねてくる人々にとっても大事に守るべき宝である。

地球温暖化そして気候変動による深刻な影響を考えるとエネルギーの脱炭素化を急ぐ事は必要だが、再生可能エネルギーはそれを進めるための「一つの選択肢」であり、今回のゾーニング調査における浜松市との意見交換や、全国で頻発している風力発電計画への反対運動を踏まえると、熊地区への風力発電施設はその選択肢とはなりえない。

今回公表された浜松市風力発電ゾーニング計画(案)を見ると、陸上・洋上ともに現時点では「Cエリア」に該当するエリアはないとなっている。これも今回のゾーニング調査によって明らかになった「一つの重要な結果」であり、今後の再生可能エネルギーの導入拡大については、市民の理解をえられるような方向性の検討、そして分かりやすい形での情報提供や情報公開を要望する。

また3月末までに公表されるゾーニングマップに対する、浜松市の責任の所在が曖昧である。ゾーニングマップに法的拘束力はない。もし今後あらたな民間事業者が熊地区に風力発電計画を立ててきた場合、浜松市はどのよう対応をするのかが不明である。手続きに問題が無ければ、浜松市は計画を受けざるをえなくなる。「計画を受ける前」に、熊地区の自治会に対しての情報提供や協議の場を設けるなど、浜松市として何らかの対応策を考えておくべきである。
 
■「地域意見のまとめ」についての意見
1. その他の項目の下記文章の訂正をお願いする。
「環境影響評価の調査が中断している」これは「停止」が正しい。

2. 熊地区(に限らないが)の最大の問題は過疎化である。熊連合自治会は浜松移住センター(浜松市市民協働・地域政策課)が行っている”Welcome集落制度”に登録されており、地域で積極的に移住者のサポートを行っている。しかし風力発電施設が出来た場合、その影響により当地区の生活環境が悪化する事は避けられない。その結果当地区への移住者が減る可能性、そして現在居住している人々が他地域へ移住してしまう事も考えられる。例えば当自治会に移住して来た2家族は、もし風力発電施設があったら当地区へは移住して来なかったと述べている。

■「地域住民から寄せられた各種意見・情報」についての意見
1. 風車に設置が義務づけられている航空障害灯が夜間の景観を損ねる。

2.  20年後の事業撤退の際に風車の土台などがそのまま「負の遺産」として放置される。

3. 一度改変されてしまった自然は二度と元にもどらない。事業撤退の際には「原状復帰」となっているが、現実には不可能である。

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意見募集は3月2日に終了し、この後第5回検討協議会で最終調整が行われ、今月末までに最終結果が公表される事になります。
浜松市はその最終結果を一般公開という形で発表し、HPでいつでもアクセス出来るようにする予定です。

最終的にどんなゾーニングマップが発表になるのか、そしてその結果をふまえて、環境影響評価が停止となっている自然電力株式会社がどのような方向性を示すのか、大きな山場を迎える事になります。





2018年12月30日日曜日

ゾーニング事業を巡る、知っておくべき「事実」その③

前回の投稿では、熊地区の風力発電候補地として抽出されたエリア(配慮・検討エリア)に係わる浜松市によるヒアリングと、アジア航測株式会社(以下アジア航測)が行った現地調査の問題点(特に水源)について書きましたが、そもそもどのような過程を経て今回のエリアが抽出されたのでしょうか?

浜松市から配布された資料によれば、GISデータ(地理情報システム)を用いて、「自然条件」「社会条件」などを重ね合わせて、風力発電の事業性が見込める地域として抽出したとあります。
陸上に関しては「風車の設定予定位置の周囲300m」を「配慮・検討エリア」とし、全市で計18地区+市境5地区を抽出しています。(平成30年7月2日熊地区地域ヒアリングで配布された資料から。具体的なゾーニングの手法については、前々回の投稿に詳しく書きました。)

15と16が熊地区の検討エリア

またこのエリアの設定についてのもう一つの重要なポイントとなる、風車から住居までの距離の設定については、平成30年1月18日に開かれた第1回浜松市風力発電ゾーニング検討協議会議事録によれば、「浜松市の(風力発電の)ガイドラインでは300mとしている。また、今後の大型化も考えて安全を見て500mとしているが、500m以上も含め、今後検討する。」と浜松市が発言しています。

浜松市が制定したガイドライン(「浜松市風力発電施設等の建設等に関するガイドライン」 平成18年8月10日制定)は10年以上も前に制定されたものであり、その後何度か改定されていますが、風車から住居までの距離については、制定当時と同じく100kw以上の風車発電施設に関して「300m以上」のままとなっています。

現在、全国の数多くの自治体が制定を進めている風力発電に係わる条例では、小型風力発電(小型風車)でさえ、住居から風車までの距離は「300m以上」としている自治体がいくつもあります。

そして協議会の委員からも「住民生活に影響するところだと思うので、慎重に検討していただきたい。」という意見が述べられていました。

私たち自治会もこのエリアの抽出については問題点が多いとして、エリアに隣接する3自治会とNPO夢未来くんまの連名で、7月24日に「熊地区地域ヒアリング(平成30年7月2日開催)で配布された資料にある「配慮・検討エリア(案)の抽出手順」についての意見書」を浜松市に提出しました。

ポイントは大きく3つあります。
  1. 浜松市のガイドラインでは「300m」となっているが、その根拠となっているNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「風力発電導入ガイドブック」によると、NEDOが想定しているのは2,000kW規模の風力発電施設(風車1基)の場合であり、複数基並ぶ事を想定していない。(風車が複数基並ぶ事によって騒音が遠方まで届く事になる)
  2. 浜松市が風車の大型化にも考えて「500m」とした根拠、具体的な風車の出力規模と基数についてを示して欲しい。
  3. NEDOの「風力発電導入ガイドブック」で示されている騒音基準の45dBは「住宅地」の騒音基準であり、山間部の静穏な地域であることを考えれば、40dBを騒音基準と考えるべきである。
この意見書に対する返答は、浜松市からはありませんでした。12月5日の報告会でもこの点について確認しましたが、浜松市としてはゾーニングに反映して欲しいという地元の意見として受け止めていて、特に返答する必要はないと考えていたそうです。

そして報告会の質疑応答を通して次の事が明らかになりました。
  1. 浜松市が想定している風車の大型化は2,500kW相当の風車であること。
  2. 風車1基の場合の騒音をシュミレーションしてエリアを抽出したこと。
  3. 騒音基準を45dBとしていること。
まず大型化についてですが、現在の風車の大型化(3,000kWや4,500kWなど)を考えた場合2,500kWが妥当かどうかは甚だ疑問です。この点について浜松市の説明は、天竜区の急峻な地形や、運搬用林道などの整備を考えると3,000kW以上の風車の設営は難しいのではないかという事でした。しかし今後もFIT法の買い取り価格が安くなることなども考えると、効率的な風力発電計画を考えた場合、風車のさらなる大型化は避けられないのではないでしょうか?

次に風車複数基でシュミレーションすべきではないかという意見に対しては、エリアに何基風車を建てられるのかは事業者の計画次第なので、具体的な複数基のシュミレーションは難しいという説明でした。しかしその場合でも、例えば1基の場合は「500m」、5基の場合は「800m」、10基の場合は「1,000m」というようなパターン化は出来たはずです。そもそも風車1基では事業が成り立つわけがなく、複数基を想定したものでなければ意味がありません。

その一方で、浜松市から意外な発言が飛び出しました。

各エリアについての調査報告会を踏まえて、来年2月に開かれる予定の第4回浜松市風力発電ゾーニング検討協議会では、風車の大型化が「2,500kW」で十分なのかどうかも含めて、設定した「500m」について再度検討するというのです。

一体どういうことなのでしょうか?
報告会で示されたエリアは一体何のためのエリアだったのでしょうか?

浜松市は具体的な明言を避けましたが、風車から住居までの距離を「500m」ではなく、それ以上離した数値で再度エリアの抽出を行うようです。

もしこれが本当だとしたら、浜松市は「風車の大型化と複数基配置の場合についての検討が不十分だった」ことになります。またどうして「報告会の最初に」この事についての説明がなかったのでしょうか?

疑問だらけです。

結局報告会は予定の1時間を大幅に超えて、2時間近くに渡って激しい議論が交わされました。

その結果、来年2月に開かれる風力発電ゾーニング検討協議会の前に、熊地区のエリアについては、再度報告会と説明会を開催するという事になりました。

そしてその後の検討協議会でそれぞれのエリアについての課題がまとめられ(浜松市の説明によると「カルテ作り」)、3月末までに発表されるゾーニングの最終報告のもととなるカルテが作成される予定です。

今回の報告会に参加して実感したのは、実際に風力発電からの影響が予想されるところに住む私たちと、ゾーニングを通して風力発電事業を誘致したいとする浜松市の間には、大きな溝があるということでした。地域の情報を少しでも多く集め、地元住民の人たちの意見を汲み取ろうという姿勢が、浜松市とアジア航測には足りなかったと思います。

エリアを抽出する条件として、風車複数基でシュミレーションする必要があるのではないかと問いただした時、浜松市から次の様な説明がありました。「(エリアを抽出する)データベースの風車の大きさや数のバロメーターを変えればいくらでも数値が出て来てしまうので、まずは1基の場合で環境省の指針である500mに当てはめてみて計算させて頂いた。」

いくらでも数値が出て来てしまうからこそ、「慎重に検討する必要」があったのではないでしょうか? 浜松市は私たちの生活をもっと尊重しつつ、ゾーニングを行うべきだったのではないでしょうか?

「机上の計算ばかりしている。現地を歩くべきだ。」という声が複数挙がったのも当然だと思います。

追記:報告会の質疑応答では、浜松市が騒音基準としている「45dB」についての妥当性については言及出来ませんでした。次回の説明会ではしっかりと協議したいと思います。

補足資料:風車の出力と大きさについて
・小型風車 出力19.5kW/ローター(羽)直径13m/ハブ(ローターを支える部分)の高さ20m/騒音パワーレベル52dB
・大型風車 出力2,000kW/ローター直径80m/ハブの高さ78m/騒音パワーレベル104.4dBA
・大型風車 出力3,000kW /ローター直径122m/ハブの高さ136m/騒音パワーレベル104.5dBA

*風車が大きくなり(高くなり)、騒音パワーレベルが大きくなればなるほど、遠方にまで騒音の影響が出ることになります。
◎写真で一幅◎
12月22日の夜、月と雲が織りなす幻想的な風景

















2018年12月24日月曜日

ゾーニング事業を巡る、知っておくべき「事実」その②

12月5日(水)の夜に地元のくまふれあいセンターで、現在浜松市が行っている「風力発電等に係るゾーニング導入可能性検討モデル事業」によって抽出された、熊地区の風力発電の候補地となりうるエリアについての「調査結果報告会」が開かれました。

現地調査と報告を行ったのは、浜松市から今回のゾーニング調査の委託を受けているアジア航測株式会社(以下アジア航測)です。

調査報告会開催の通知

報告の内容は大きく次の3点でした。
(1)7月2日に行われた熊地区地域ヒアリングの内容
(2)現地調査報告結果
  • 地すべり・崩落地に関する現地調査報告(8月2日〜3日)
  • 水源に関する現地調査報告(8月2日〜3日および8月7日)
  • 景観に関する現地調査報告(8月2日〜3日)
(3)ゾーニングに係わる今後の方針とスケジュールについて


まず7月2日に行われたヒアリングの問題点について述べたいと思います。
ヒアリングの目的は、風力発電事業への疑問や心配点などについての意見聴取と、(2)の現地調査を行うための情報の収集となります。

しかしながら7月2日に行われたヒアリングは、熊地区の自治会長のみの出席で、ヒアリング「当日」に資料を配付し、ゾーニングについての説明を行い、その場で現地調査のための情報を集めるというやり方でした。これでは調査に十分な情報を集められるはずがありません。

事前に各自治会長に資料を配付し、ヒアリングの意図を説明し、地元住民からの情報を集める時間を設けてからヒアリングを行うべきでした。

上記の調査期間を見ればわかるように、アジア航測は8月2日と3日の二日間で、この広いエリアの調査を完了した事になっています。地元の詳しい人のガイドなしに、たった二日間で地すべりや水源の調査などを行った結果、報告会で数多くの問題点が指摘される事になります。

熊地区の風力発電検討エリア(配布された資料から)

まずアジア航測は、ヒアリングで示された20数カ所の水源の内の一部(数カ所)しか調査していなかったうえに、その水源がそれぞれの集落にとって重要な水源なのかどうかも確認していませんでした。

また柴・沢丸の「簡易水道」(これも間違っていて、本当は小規模水道施設です。簡易水道と小規模水道施設では施設管理者が違うので、明確に分けないといけません)の水源が、本当は地下水であるにも関わらず、何故か夏に子供たちが遊ぶプールとなっていて、驚いたというか呆れてしまいました。また地下水の水源については「調査対象外」として、調査報告ではその影響については触れられていません。

プールが水道水源に!?(配布された資料から)

そして水源に関しての調査結果として示されたのが、「尾根付近の地形改変による水源への影響は比較的少ないと想定」というものでした。杜撰ともいえる調査から導き出されたこの結果について、どう納得しろというのでしょうか?

結局報告会の質疑応答の中で、アジア航測の担当者も「水源の調査に関しては不十分でした」と認めざるをえなくなりました(後日、再度水源を地元の代表者らとともに確認し、調査しなおしました)。

また景観についての現地調査も、広い熊地区でたった1カ所(!)を調査(熊小学校)したのみで、その選定理由が「国土地理院の地図から、この地区の中心的存在と判断した」からだそうです。

熊地区には、環境省の交付事業として整備された東海自然歩道や縄文時代中期の遺跡などもあり、また地元の人たちが大事にしている風景が沢山あります。それらを知ろうともしないで調査報告を「平然と」出してくる姿勢が信じられません。

アジア航測は自社で保有する航空機と最新鋭のセンサーによる空間情報の収集・解析を専門としていて、環境省が行っている風力発電に係わるゾーニング調査についても全国の複数の自治体から調査を委託されています。にもかかわらず、この現地調査の杜撰さはどういう事なのでしょうか?

今回の現地調査報告を聞いた限りでは、アジア航測が行った調査結果を信用する事は到底出来ません。

もちろんゾーニングに関する調査では、風力発電事業にともなう環境影響評価(環境アセスメント)で行われるような詳細な調査をする必要がない事は理解しています。しかしながらそのベースともなる調査がここまで杜撰では、ゾーニングそのものの「信頼性」にも関わってくるのではないでしょうか?

そしてもう一つの重要なポイントとなる、風力発電に適したエリアを抽出する基準、具体的には風車から住居までの距離の設定についても、今回の報告会では大きな問題となりました。

このエリア抽出の問題点については、次回の投稿で詳しく触れたいと思います。

◎写真で一幅◎
紅葉の中、年末に向けて道路清掃をしました