しかし先週から今週にかけて、私たちが驚くような事実が明らかになりました。
事の発端は、Twitterのツイートでした。
小型風力発電のFIT法(固定価格買取制度)の適用を受けるための事業認定が、風車一基毎に細かく分かれているという内容で、エネルギー資源庁のHPでそれを確認する事が出来るという事を知りました(注1)。(FIT法については、また別の投稿で触れたいと思います)
今回の事業については、4月7日に開かれた経済産業省の環境影響評価顧問会に提出された自然電力株式会社の資料(注2)から、既にこの事業について産業経済省の認定が済んでいる事は分かっていたので(2017年7月28日に申請、9月29日に認定取得)、実際にエネルギー資源庁のHPで、誰が、どの住所で認定を受けたのかを調べてみました。
エネルギー資源庁のHPで公表されているデータは下記の様になっていました。
■設備ID:DZ99022C22
■発電事業者名:自然電力(株)
■代表者名:磯野謙
■発電設備区分:風力
■発電出力(kw):26,000.0
■発電設備の所在地/代表住所:静岡県浜松市天竜区熊字箒木地蔵前727-6他、29の住所
ここで驚くべき事が判明します。
発電設備の所在地として認定された住所(全部で30)に、私たち自治会の住民も含め、この事業に反対している人たちの土地がいくつも含まれていたのです!
どうしてこんな事になっているのでしょうか?
これらの土地の権利者の方々は、事業者から事前に何の説明も受けていません。当然のことですが、事業者との間で譲渡/賃貸借等の契約も結んでいませんし、事業者に対して将来、土地の譲渡/賃貸借等を認める意向もありません。
経済産業省の再生可能エネルギー推進室がリリースしている「再生可能エネルギー発電事業計画の認定における設備の設置場所について(平成30年4月2日改訂)」(注3)では、認定申請において、次のように設備(この場合は風力発電)の設置場所の所有権を確認出来る書類の提出を求めています。
(1)地上に設置する場合
①土地の登記簿謄本(全部事項証明書)(申請日より3か月前から当該申請日までの間に発行された原本で法務局発行のもの)
②土地の登記簿謄本(全部事項証明書)に記載される権利者と設置しようとするも者が異なる場合
・売買契約書の写し、賃貸借契約書の写し、地上権設定契、権利者の証明書(参考様式はこちら)等※
・契約当事者双方の印鑑証明書(、申請日より3か月前ら当該までの間に発行された3か月以内の原本。ただし太陽光10kW未満の場合を除く。)
事業者は、「売買契約書の写し」もしくは「賃貸借契約書の写し」、または「地上権設定契」もしくは「権利者の証明書」の提出が必要になるわけです。
しかし事業者は、今回の認定申請時に②で必要とされている書類は提出していません。それなのに、何故、認定されたのでしょうか?
実は上記の申請条件が、事業者が申請した平成29年7月の時点では、②の書類の提出が必要ありませんでした。
これは驚くべきことです。
つまり、土地の権利者の意向に関係なく、事業認定の申請が出来たのです。
もちろん認定後3年以内に、「売買契約書の写し」もしくは「賃貸借契約書の写し」を提出する必要があり、提出出来ない場合には認定が取り消されるという条件が付いていたとは言え、明らかに、事業者が事業を進めやすい仕組みになっていました。
直接、事業者が事業申請書類を提出した関東経済産業局にも電話で確認して、次のような説明を受けました。
「平成30年4月2日以前の申請に関して、出力20kw以上の風力発電計画については、委任状もしくはそれに類する書類の提出がなくても、一旦認定し、3年以内に土地の譲渡もしくは賃貸借契約の写しを提出すればよく、今回の申請は法的には問題ない。ただし、3年経っても正式な書類が提出されない場合には、認定は取り消しになる」
今回の認定申請に関しては法律的には何ら問題はありませんが、事業認定についての法律である「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則」には、この事業認定の申請の際には、以下の書類を添付しなければならないと明記されています。
「当該認定の申請に係る再生可能エネルギー発電設備を設置しようとする場所について所有権その他の使用の権原を有するか、又はこれを確実に取得することができると認められるための書類」
事業者が申請した時点(平成29年7月)では、認定後事業者に、権利を取得していない土地に関して、「これを確実に取得することができると認められるための書類」を提出するまでに「3年の猶予」が与えられていたという事になります。
事業者は、どうしてなかば強引とも思えるやり方で、急いで認定申請をしたのでしょうか?
それにも、現在の再生可能エネルギーをビジネスとして成り立たせている「固定価格買取制度(FIT法)」(簡単に言うと、発電した電力を一定期間決まった金額で買い取ってもらう事が出来る)が絡んでいます。実は現在、「固定価格買取制度」は年々買取価格が下がってきています。また「固定価格買取制度」そのものが無くなる可能性もあると言われています。
事業者は、「固定価格買取制度」の条件が良い内に早く認定を得たかったのです。そしてその申請のために、土地の権利者に無断で、勝手に住所を利用したのです。
これが自然電力株式会社の事業の進め方です。
法律的には問題ないとしても、このような事業の進め方をする会社を、どうして信用出来るでしょうか?
補足:気になるのは、ほぼ同時進行で事業計画が進んでいる(仮称)鳥取市青谷町風力発電事業です。エネルギー資源庁のHPで確認すると、こちらの事業についても既に事業認定がされています。認定申請に関しては、同じようなやり方をしている可能性があります。
注1:再生可能エネルギーの電子申請
注2:(仮称)浜松市天竜区熊風力発電事業 環境影響評価方法書 補足説明資料
◎ 写真で一服
5月6日のお茶摘みの時に撮影しました。 瑞々しさと、力強さを感じるお茶の新芽は、本当に綺麗です。 |
0 件のコメント:
コメントを投稿