ご報告が遅くなってしまいましたが、2021年2月18日付けで、(仮称)浜松市天竜区熊風力発電事業(以下事業)について、事業者である自然電力株式会社(以下事業者)から事業を中止する旨の文書が熊地区連合自治会及び浜松市担当部署宛に送付されました。
文書の内容は下記の通りです。
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令和3年2月18日
自然電力株式会社
代表取締役 磯野謙
(仮称)浜松市天竜区熊風力発電事業の中止について
自然電力株式会社は、(仮称)浜松市天竜区熊風力発電事業(以下、「本事業」)につきまして、本日付で事業を中止することを決定いたしました。これに伴い、本事業に係わる電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(以下、「再エネ特措法」)に基づく事業計画の取り下げを申請いたしました。
地域の皆さまおよび関係者の皆さまにおかれましては、これまでに多大なご指導、ご協力をいただきましたことに厚くお礼申し上げます。
記
●中止の理由
平成29年9月に再エネ特措法に基づく認定を受けた本事業計画につきまして、平成31年3月に浜松市が公表した「浜松市風力発電事業ゾーニング計画書及びゾーニングマップ」を踏まえた再検討を進めてまいりましたが、十分な事業性を担保した事業計画の立案が極めて困難であるという結論に至りました。
(補足資料)
事業中止までの経緯
2017年1月 事業の検討開始
2017年4月 風況観測塔設置による風況観測開始
浜松市による風力発電ゾーニング調査事業開始
2017年5月 環境影響評価手続開始
2017年9月 環境影響評価方法書の公告縦覧
再エネ特措法に基づく設備認定(後の事業計画認定)を取得
2018年4月 猛禽類調査を除く環境影響評価手続を停止
●環境調査を実施する以前において、住民の方々への説明や聞き取りが不十 分であったことを踏まえ、浜松市による風力発電ゾーニング調査事業を踏ま えた上での事業の再検討が必要であると判断
2019年3月 浜松市による「風力発電ゾーニング計画書及びゾーニングマップ」公表
2020年9月 再エネ特措法に基づく事業計画認定に係わる事業実施区域縮小を変更申請
2020年12月 関東経済産業局より変更申請は受理しないとの回答
●事業実施区域縮小した場合の事業実現性が懐疑的との指摘
事業中止に向けた対応開始
●関東経済産業局に指摘を受け、再検討した結果、「浜松市風力発電ゾーニ ング計画書及びゾーニングマップ」によるAエリア(法規制や社会条件等によ り立地が困難なエリア)を十分に回避した形での事業実施区域を再設定した 場合、十分な事業性を担保した事業計画の立案が極めて困難であると判断
2021年2月 再エネ特措法に基づく事業計画認定の廃止を届出
(以後、事業中止に関する手続を順次対応予定)
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補足資料に書かれている2021年2月以降の手続きについては、まだ対応が遅れているようです。こちら進捗状況についてはまた分かり次第公表して行きたいと思います。
当自治会としては、事業中止になった理由についての説明はこれでは不十分だと思いますが、いずれにしても、2017年から始まった事業が「中止」になりました。私たちが訴え続けてきた事業に関する問題点や、事業による環境への影響の大きさなどが反対運動の中で明確になった事が大きかったと思います。
その一方で、2019年3月の浜松市による「風力発電ゾーニング計画書及びゾーニングマップ」公表以降の事業者の事業に対する姿勢には疑問も残ります。
特に事業者が最後まで事業計画認定(FIT認定)にこだわったことにより、2020年9月から12月にかけて、私たちも改めて反対の意志表示をし、交渉を続けざるを得なくなりました。最終的には事業者が中止の判断をする事になった訳ですが、私たちの再三の反対の意志表示にもかかわらず、自らの都合によって事業継続を図った事業者に対しては不信しかありません。
2019年3月以降の経緯についてはまた改めて詳しく書きたいと思いますが、担当者が繰り返し述べていた「地域住民の意思を尊重します」という言葉の重みを、事業者にはよく考えてもらいたいと思います。